2016年7月25日月曜日

負ける喧嘩はしない/怒涛のビジネススキル編その2



負ける喧嘩はしない
~これぞ交渉に勝つ秘訣!~


サラリーマンを長くやっていると窮地に立つことも多い。そしてその窮地を如何に切り抜けられるかが最も重要と言えるのではないかと思う。切り抜ければ評価にもつながるのだ。


一人で解決することが難しい案件もある。特に上司や同僚、また他のセクションの人の力を借りなければ解決しない案件も山ほどある。利害がぶつかったり他の人に譲歩してもらわなければならない時、如何に上手く交渉するかが自分の力量であるとも言える。

私は交渉事には強かった。若い頃から少なくとも普通の人よりもかなり勝率は高かった。それは先輩に「負ける喧嘩はするな」と繰り返し教わって来たことが大きかったと思う。
この先輩Yさんは天才的であった。後にも先にもこんな人はいなかった。どう考えても無理だと思われる社内外の協議案件を、いとも簡単に纏め上げて来るのである。だが、Yさんにも当然どうにもならない案件もある。その場合は早々に諦めてしまい全く交渉しないのである。
Yさん曰く「負ける喧嘩はしない、というのは喧嘩をするな、ということではない。喧嘩する時は必ず勝てということ。最初から負けると分かっている時は即座に諦める」。


つまり、勝つ為に事前に如何に徹底的に考え、調べ、ロジックを組立てるかが大切であり、喧嘩=交渉を始める前にほとんど勝負は決まっている、ということであった。道筋を作れない案件まで無理矢理力でねじ伏せようとしても、自らの評判を落とすだけで得るものは何もないということなのである。
「勝てる背景を作れ」「難しい案件程相手に近づけ」とも教えられた。

営業課長時代に、本社にSさんという難攻不落の課長がいた。この人の決裁を取らなくてはならない難しい案件があり、上司も「Sさんじゃ無理かな」と諦めていた。
Yさんに相談したら、「それは家を褒めるしかないな」と言うのである。家を褒める?!一体何ですか?と訊いたら、どうもSさんは最近家を買ったらしいので、その家を褒めまくり、教えを乞う感じでまずは親しくなるのが早道、ということであった。当時ちょうど私も家の購入を考えていた時期ではあったので、Sさんを訪ね本命の案件には触れず家の購入のノウハウなどの話を振ってみたところ、今まで見せたことのないような柔和な表情で丁寧にいろいろ教えていただいた。結果、数日後二人で飲みに行くことになり更に家の話で盛り上がり親しくなることに成功したのである。
その一週間後くらいに懸案の案件はすんなりと決済が得られた。上司をのけぞって驚き、お前一体どんな手口を使ったのか、と詰め寄られたが、まさか家を褒めて、と言えるはずもなく黙っていた。Yさん恐るべし。




正に「将を射んと欲すればまず馬を射よ」なのだ。大上段から大刀を振り降ろすような戦いは確率も低いし、場合によっては遺恨も残るのである。それよりも相手が「助けてやろう」と思える背景を作ることを優先すべき、ということを私はこの件で学んだのだ。背景を作ってもダメな時はダメだが、それでもただ闇雲にぶつかるよりも100倍賢いのである。

課長時代の部下だった「見舞いの鬼」と言われたN君も、背景を作る派であった。得意技はお見舞い一本槍。誰かが入院したと聞けば即座にお見舞いを持参するのである。
彼曰く本人より家族の見舞いが大事で、家族の見舞いをすれば家庭内の本人の株が上がるので効果倍増とのことであった。ともかくN君は常にとことん病人を探しているような営業スタイルだった。人の不幸を探すようで何だか釈然としなかったのだが、本人は大まじめである。そして、そんなに病人がいるわけない、と普通は思うのだが、大小取り混ぜれば結構いるものなのだ。


ある時、「攻略中のお客様の部長が入院した」という話をN君が聞きつけ、満面の笑みで私の所に報告に来た。
「いやー、課長、遂にチャンスが来ました。〇〇社のE部長がお茶の水の病院に今日から入院したらしいです。すぐ行きましょう!」
N君の勢いに押され、お見舞いを購入しすぐさま病院に向かった。ロビーに着いて受付で病室を確認しようとしたら何と病院着のE部長が歩いているではないか。すぐさま呼び止め、「E部長、大丈夫ですか!」と言ったらキョトンとして、「どうしたの?今日人間ドックなんだけど」と言ったのである。


に、人間ドックぅ?!後ろに控えるN君をギリリと睨みつけ、それでも固辞するE部長にお見舞いを無理矢理押し付け逃げるように帰って来た。帰路でN君をこっぴどく叱りつけたのは言うまでもない。ところが、である。何と一週間後に商談は成立したのだ。


(ほーらね)と顔に書いてある感じで、得意満面の笑みを湛え報告するN君に、私は「そうか」と言うしかなかった。
見舞いの効果が絶大なのは確かに分かったが、幾らなんでも人間ドックのお見舞いを正当化することは立場上出来なかったのである。





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