2016年7月5日火曜日

通勤/狂乱のオピニオン編その3



通勤/狂乱のオピニオン編その3


~レオタードおじさんの真実!~



私は何度も目をこすった。夢ではないのか。これは悪夢なのか。しかし、地下鉄を待つ混雑した朝のホームで私の前に並んでいたのは、ピンクのレオタード一丁で黒い靴下に黒い革靴を履き、黒いビジネスバッグを持った普通のおじさんなのであった。レ、レオタードおじさん???

15年くらい前になるのか。私は南流山から入谷に通勤していた。北千住駅で地下鉄日比谷線に乗り換えるのだが、ホームは地獄の混雑であった。混みあった階段を上ってホームに出ると見渡す限り人、人、人。何とか掻き分けてよろよろと列に並んだら、前にいたのがこのレオタードおじさんであった。
後ろから見ると相当薄毛であり50歳は越えているだろう。そーっと斜め横にズレて覗き見ると普通の真面目そうなおじさんである。しかも堂々と落ち着き払い、何事もないように電車を待っているのだ。一体どういうことなのか・・・。

考えられるのは罰ゲーム。上司から「こんなミスしやがって!お前はみたいなヤツはなぁ、明日からレオタードで出勤だ!」と怒鳴られ、「はい・・・わかりました」と、このカッコで出勤。
はたまたレオタード会社の営業マンで宣伝を兼ねて試着して出勤という線もないではない。しかしどっちもなんだかなぁ、という感じである。

電車が到着してみんな乗り込んだが、私はどうしてもレオタードおじさんの次に乗る勇気がなくて一本遅らせた。だって身体が密着するでしょ。いくらなんでもねぇ・・・。
当時私は同じ人物を都合3回目撃したのだが、後日ネットで調べたらどうも愉快犯みたいな人だったらしい。つまらない通勤時間を楽しく?というような発想なのかしらね。しかしやや迷惑な話ではある。

さて、サラリーマンにとって通勤は大変大きな問題である。地方都市では車で30分以内というようなケースも多いのだろうが、ある調査によれば、大都市圏、特に東京、大阪では通勤に片道平均1時間くらいかかっているそうである。しかし東京はイメージ的には1時間では済まないようにも感じる。周囲の人に聞いてみると、1時間半とか2時間という人もたくさんいるのだ。
 ちなみに私が経験した最大通勤時間は1時間半である。南流山から江戸川橋までだったが、ずーっと超満員である。かろうじて文庫本を開けるかどうか、という状態での1時間半は本当に厳しかった。往復3時間。200日として600時間。24時間で割ると丸々25日間である。つまり1年のうち1ヶ月くらいの時間をただただ通勤に費やしている訳だ。



なのでサラリーマンは通勤時間の有効活用を考える。
まずは読書だ。600時間あれば200冊くらいは読める。実際に私も1時間半通勤時代には1日1冊読んでいた。しかし、一日一冊読んでしまうのも何となく空しい。なのでその頃は辞書みたいに分厚い文庫本を探しては読んでいたものである。
今ならスマホでニュースを見たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、メールをしたりと様々な選択肢が可能である。電車でスマホをやっている人の割合は年々増え続けているのだろう。
座っている人が全員スマホを見ている光景などを目にするとちょっと異様には感じるが、つまらない通勤時間が少しでも楽しくなるなら悪いこととは言えない。

 楽しく過ごすのは勿論賛成なのだが、みんながレオタードおじさん的発想に走ったりしたら大変なことだ。
私もロックバンドをやっている関係で顔にメイクをしたり金髪にしたりして来た。そういう時は何となく見られたい願望が湧き出るものである。奇抜なファッションなどと同じ範疇であろうか。しかし、見られたい願望を通勤電車で果たそうとする人が増えたら大変やっかいである。

だいたいみんな露出系が多いと思われるので、まずは競泳水着おじさんとか、スク水おじさんとかが出現することが予想される。更にはブルマーおじさんやTバックおじさんの登場も想像に難くない。このようなおじさんが増えて来ると、さすがにおばさんも黙ってはいないだろう。まず現れるのはボンデージ姿に鞭を持ったSMおばさんであろう。これは一部のサラリーマンには好評を博す可能性もある。


このような露出系のおじさんやおばさんが増えて来ると、露出系から更に進化した次世代型のおじさんやおばさんも続々と登場するのではないか。例えばアナコンダを首に巻きつけた大蛇おばさんや、お相撲の化粧回しをきっちりと締めた横綱おじさんとか。まぁ、面白いのは面白いがさすがに大蛇おばさん、横綱おじさんは無理があるか・・・。

しかし私は時々考えてしまうことがある。あのレオタードおじさんは今はどうしているのであろうか・・・。
別に好きな訳ではないし会いたいと思っている訳でもない。それでも私は何となく思いだしてしまうのである。時代だろうか。

私が40代半ばで仕事がめちゃめちゃに辛くて、毎日毎日死にそうになって働いていた時代の鮮烈な記憶だからだろうか。
わからない。わからないけれど私はこれからもきっと思いだしてしまうのだろう。
そういう意味ではあの15年前のレオタードおじさんの戦略は、見事に成功したと言えるのかも知れない。




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