2016年9月28日水曜日

筋肉/動乱のエピソード編その17


筋肉
~ブラ課長からの帰還!~ 

先日テレビを観ていたら、筋トレが免疫力をアップさせ病気を治す、というのをやっていた。病気になり身体が不調となると筋肉からグルタミンという物質が出て来てリンパ球を増やすというのである。だから病気には筋トレ、ということらしい。筋肉は自らを壊しグルタミンを排出するのだそうで、常にある程度の筋肉を作るトレーニングをしていないと病気と戦えないということのようだ。
番組内では、入院患者にベッドで寝たまま筋トレをさせていた。なるほどなぁ・・・。

私はスポーツ好きである。子供の頃からテニスをやっており、高校、大学、社会人と優勝経験も数多くあり輝かしい戦歴を誇る。ハーフマラソンも走っていたしゴルフも好きでスポーツクラブにも通っている。
そんなスポーツ好きの私だが、何故かやっていたスポーツはすべて「カッコイイ身体にはならない」スポーツであった。
男のカッコイイ身体は逆三角形と決まっている。胸板が厚くてお腹が引き締まっているのが男らしい身体なのだ。これが、カッコイイ身体が正三角形と決まっていれば、世の中のおやじたちの悩みは大幅に減るのではなかろうか。
「〇〇君、なんだねそのへっこんだお腹は!恥ずかしくないのか?!私のような立派な太鼓腹になるよう努力したまえ」なんて部下を叱責したりすることを夢想する中高年のおやじは多いと思うのだが、いつまで経ってもそんな時代は来ないのである(^^;)
私がやってきたスポーツはどれも胸筋をまったくと言っていいほど使わないスポーツであった。なので、ずっと上半身は貧弱だった。これがややコンプレックスであった。

課長時代に部下のN君とスポーツクラブに行った時、風呂でN君に「課長、胸ないですねぇ」とちょっと鼻で笑われ馬鹿にされた。N君は水泳をやっていたので胸板が厚いのである。
直接こんなにはっきり言われたことはなかったので悔しかった。くそぅ、見返してやる!と思った。すぐさま5kgのダンベルを二つ買い込み自宅でトレーニングを開始した。仰向けになり腕を伸ばした状態でダンベルを左右に開くのである。胸筋を付けるのに最も有効なトレーニングと本に書いてあったのだ。
しい時はN君の馬鹿にしたような顔を思い出し、来る日も来る日もダンベルを開き続けた。すると一週間くらいから効果が表れ始めた。胸の筋肉が見る見る隆起して来たのである。こうなると更にやる気が出るものだ。(くそぅ、待ってろよN君)と思いながら、私はトレーニングに明け暮れたのだった。
そして一ヶ月後、私の胸板は見違えるようにぶ厚くなっていた。両胸が隆起し真ん中にきちんと縦に筋が入り、まだまだ発展途上とは言え目覚しい進歩であった。私は意気揚々とN君をスポーツクラブに誘った。

スポーツクラブでのトレーニングでは気もそぞろであった。ともかく目的は風呂でN君に胸筋をアピールすることだけなのだから仕方がない。そしてようやくその時が来た。胸筋アピールタイムである。
風呂の脱衣場でトレーニングシャツを脱ぎ、なるべく自然な感じでN君に、「ねぇ、ちょっと体形変わったでしょ」と言ってみた。するとN君が目を見開いて「あ、課長、凄いじゃないですか?!」と言ってくれるではないか。私は嬉しかった。努力が報われたのである。しかし、N君は私の胸をじっと見つめると、ん?!と首を捻った。
「でも課長、何だか女のおっぱいみたいですね・・・」
ガーン・・・😨
そうなのだ。それは少し私も気になってはいたのだ。胸は明らかに隆起したものの胸筋が四角くならず、乳首を中心に何となく円錐形っぽい形になってしまっていたのだ。N君の次の言葉は私を震撼させた。
「課長、このまま行くとブラジャーが必要ですよ」
ブラジャー?!
な、何と恐ろしいことを言うのだろう。男性用ブラジャーがあるのは知っている。しかしそれを着用するなどということは考えたこともなかった。そんなものをしていたら、仇名はすぐさま「ブラジャー課長」か「ブラ課長」になるに決まっている。イヤだ。そんな仇名は絶対にイヤだ!
「課長、それってダンベルで作ったんですか?腕立てしないと絶対ダメですよ。上から圧かけないと胸筋はまとまらないんです」
何と!腕立て?!そうなのである。私は腕立てはまったくしていなかったのだ。それからは来る日も来る日も腕立てである。ほどなく形が整い私はブラ課長の危機を脱した・・・。

何事も、知らないということは恐ろしい。私は、本質を知らずに努力することは回り道をするだけではなく、大いなる危機を招くことを身を持って体験したのである。



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