瑞々しい感性と真摯な思いが胸を打つ!
電撃大賞受賞作!
第23回の電撃大賞受賞作「君は月夜に光り輝く」を読んでみた、ネタバレなしのレビューです(^.^)
(^.^)本日の記事の目次
👉電撃大賞って何?
👉何故興味を持ったのか告白しておく
👉あらすじはこんな感じ
👉読んだ感想を率直に書いてみますね
👉この本は本当におススメなのか?
👉電撃大賞って何?
最も応募数が多いと言われており、第20回は6,554(゚Д゚)もの応募があったという。
一般的な文学新人賞が、せいぜい1,000~2,000と言われている中では、これはものすごい数である。
この賞はジャンルフリーではあるが、ライトノベルが中心の賞だ。
書籍化も毎年数冊されるので、応募する側にとっては魅力的な賞と言えるのだろうと思う。
ライトノベルには明確な定義はないが、主として若者向けの軽く読める小説といったイメージであろう。
かつては「狼と香辛料」のようなファンタジー色が強い作品が多かったが、最近では「ちょっと今から仕事やめてくる」のような若手サラリーマンを対象とした作品も受賞しており、セールスを重ね映画化されるなど、大きな脚光を浴びているのである。
👉何故興味を持ったのか告白しておく
本作は瑞々しい感性が美しい青春ものラブストーリーである。
本来は私のようなオヤジが読むような作品ではないことは百も承知している(-_-;)
だがしかし、本屋で平積みされているのを手に取ったが最後、戻すことが出来なくなってしまったのだった。
それはイラストの美しさと装てんの見事さによるものだったのかも知れない。
また、帯がまた興味をそそる。
「『探偵・日暮旅人』山口幸三郎も感動!綾崎隼、蒼井ブルー、loundrowも泣いた」
さらに、
「選考に関わったすべての人の心をしめつけ4,878作品の頂点に輝いた圧倒的感動作がここにー」
とも書いてあるのである。
私はうーむ、と唸る(-_-;)
私は恥ずかしながら不勉強で、ここに書いたある人は誰一人知りはしない💦
でも、「あのloundrowまで泣いたんだかんね!ホントだかんね!」などと強い口調で言われてしまえば、ほー、そうなのか、それはすごいことだ!と素直に思ってしまう実にいい加減な感性の持ち主でもあるのだった。
そしてよく見たらloundrawさんは、私が目を奪われた、この作品の素敵なイラストを描いた作者さんであった💦
しかし、ここまでみんなが言うのは並大抵ではないだろうと感じる。
そこで買って読んでみることにしたのである。
👉あらすじはこんな感じ
姉の死からなんとなく投げやりに生きていた高校生の「僕」は、ひょんなきっかけから「発光病」で長期入院してる、会ったことのない同級生渡良瀬まみずの見舞いに行くことになった。
発光病は月の光を浴びると身体が淡く光り、死期が近づくと光が強くなると言われている不治の病だった。
余命わずかな彼女に、僕が「したいことがあるなら手伝わせて!」と言ったがために、僕は様々なまみずのわがままに振り回されることになる。
彼女のしたいことを、彼女に代わって体験し、彼女に報告しなければならなくなったからだ。
同級生の香山、僕の母や亡くなった姉、まみずの両親などとのエピソードが複雑に絡み合う中、まみずのために走り回る僕の心に変化が芽生えてくる。
そしてラストの展開にハラハラドキドキし、読了後の余韻に心が静かに震えるのだ。
まさしく正統派の、正しくも切ないステキなラブストーリーである。
👉読んだ感想を率直に書いてみますね
以前に読んだ同賞のメディアワークス文庫賞受賞作「ちょっと今から仕事やめてくる」の時も感じたのだが、文章自体の完成度は高くないと思ってしまう。
粗削りと言うか、未完成でちょっと雑な感じがしてしまうのである。たまに表現に違和感を覚えるのだ。
しかし読み進むと、そんなことは置いておいて、ぐんぐんストーリーに引き込まれる自分がいるのを止められない。
序盤はそうでもないのだが、中盤以降様々なエピソードがつながり始め、「僕」がまみずに振り回されつつもどんどん魅かれていくことに自分自身が感情移入して行ってしまうのである。
ラストには作者の強い思いが込められた切ないエピソードが用意されている。
この作品の大きなテーマは「そこにある死」だ。
メインに見えているのは、どんなに主人公がバタバタ走り回ってもどうすることも出来ない「死」なのだ。
しかし、作者が我々に伝えたかったのは、「死を見つめて生きる」「ともかく生きる」という強いメッセージであろう。
それを伝えるために、様々なエピソードをつなぎあわせ、一つの物語にしたのだ。
そして読者は生と死に向き合い、愛と青春を思い、一つ長いため息を吐き、空を見上げてしまうのだろう。
👉この本は本当におススメなのか?
本作は、作者の真実の魂の叫びを表現しているのだと思う。
技巧的ではない本当の想いだ。
それは読者の魂も大いに揺さぶるのである。
そして本作は非常に映像的な作品と言えるだろう。
読んでいるだけで映像が浮かぶのである。
確実に映画化されるのではないかと感じる。
映画のシナリオを読んでいるような感覚を覚えたのも事実だ。
しかしそれはきっと、作者の勝ちを意味するのだと思う。
映像が浮かぶようにイメージを膨らませ、自分の想いを描いているのだ。
きっと素晴らしい映画になるはずだ。
ちょっとコミカルで、すごく美しく切ない映像となって僕たちの元へ帰って来るだろう。
そのことを思って、是非読んでいただきたい作品である。
おススメです(^.^)
👉ちょっと今から仕事やめてくる
→http://supersalariedman.blogspot.jp/2016/08/blog-post_23.html
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