2016年7月20日水曜日

採用面接/狂乱のオピニオン編その13



採用面接
~狂乱のオピニオン編その13



新入社員の採用面接をすることが何度かあった。新卒採用は会社の生命線であり、長い目で見れば採用こそが会社を永続的に発展させられるかどうかの唯一のポイントとも言える。人は一定のサイクルで入れ替わる。企業にとっては、時代時代に会社を動かす人材を用意し続けることができるかどうかが常に最重要課題なのだ。

昔と違い中途採用も活発であるが、やはり新卒採用は各社力を入れている。私の会社では面接のスピードを上げる為に、一次面接は若手社員、二次は課長クラスなど、階層別に人事部以外の社員が応援に出てスピーディーに面接を行っていた。総力戦を仕掛け、内定を出すスピードを上げるのも勝負の重要な要素なのである。 

私は部長時代や役員時代に、最終に近い面接を担当していたことがある。その経験の中で感じたのは、学生の「上手すぎる均一感」であった。最後の方まで残って来た学生達であるから優秀なのは間違いないのだろうが、言うことがあまり変わらないので困る。

多くの人が居酒屋、コンビニ、カフェのいずれかでアルバイトをしており、その時の苦労話がかなり多い。それはまだ仕方ないと思うのだが問題は志望動機。かなり多数の人の答えは「保険会社は形のない商品を売っているので自分自身が商品。自分を磨ける仕事なので」と画一的である。
多分業種別マニュアルみたいなものがあって、よく勉強して来てるんだろうが、三人くらい続けて同じことを言われると、おいおいおい、と思ってしまう。こちらが性格が捻くれてるのもあるのだが、どうしても人と違った独創的な答えをついつい期待してしまうのだ。

大昔の話だが嘘か誠か伝説的に語られているエピソードがある。「サッポロビールの面接」というやつだ。
面接で黙り込む学生。何を訊いても全く答えず、真っ直ぐに面接官を見つめるだけ。面接官が「どうしましたか?何故答えないのですか?」と声をかけると、学生はたった一言、「男は黙ってサッポロビール」。で、見事に合格。
当時のCMをそのまま面接に持って来て、一発勝負を賭けた学生の逸話である。やっぱり作り話かな。でも私が就活をしていた頃にまことしやかに伝わっておりました。まぁ、そこまでしろとは言わないが、やっぱり人と違う主張をしてもらいたいものだと思うのである。

印象的だった学生で「金が欲しい」と強く訴えた人がいた。
自分は家がそれほど裕福ではなかったので、金の有難みを知っている。だから安定的に金を稼ぎたい。保険会社に絞ったのはその為である。自分は金を稼ぐ為なら苦労は厭わない。どんなに苦しくても頑張れる。だから自分を採用してくれ、と切々と訴えるのである。
採用面接で金だ、金だと言う人はまずいない。しかし、就活で企業を選ぶ大きなポイントの一つは収入であることは紛れもない真実である。学生はその本音は隠し、自分を磨ける仕事などと綺麗ごとを言う。しかし彼は違う。俺は金を稼ぎたいんじゃ~!金じゃ、金じゃ、金をくれ~!とぐいぐい押してくる。成績はあまり良くはなく、体育会でもなく、学生時代の素敵なエピソードも不足していたが、私は当然の如く彼に票を入れたのである。彼のその後の消息は知らない。社会人となり金を稼ぐ為に必死に頑張っているのか、それとも単に就職戦線で裏を行く作戦だったのかは今となっては知る由もない。しかし私の感情に強く訴えたことは事実であった。

アルバイトで保険会社のコールセンターのオペレーターをしている、という学生もいた。もう2年ほど事故の受付などをやっておりかなり習熟しているので、私は事故査定業務であれば明日から即戦力で使えます、とのアピールを展開していた。この人もなかなかであった。「明日から即戦力!」と自信満々に言えるキャリアはなかなかない。作戦を練ってアルバイトを選び、人とは違うアピールポイントを作って就活に臨んでいるのだろう。

しかし面接は難しい。20分程度の時間で相手の本質を見抜くなんて所詮無理なのではないか。学生に相当しっかり練習して臨まれれば、ベテランの面接官もすっかり騙されてしまうこともあるのだ。それは仕方がないことなのだろう。

採用面接はある意味騙し合いなのかもしれない。だが結果的に良ければいいのだ。騙されて正解、なんてことは世の中にはたくさんあるのだから直感を信じるしかないのだ。



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