2017年2月24日金曜日

「うまい話に気をつけろ」ばあちゃんの教えはいつも正しい!/錯乱のエピソード編その15


<作画:みやかね にわとり>

~ばあちゃんの教え「うまい話に気をつけろ」について語ってみる!~

 詐欺に引っかかる話は切れ間なくニュースになる。投資の詐欺が多い。
 絶対に有り得ないような話なのに、どうしてこんなのに引っかかってしまうのか不思議になる方もいらっしゃると思うが、そういう方でも詐欺師や詐欺集団と相対した当事者になってしまうと見事に騙されるのかも知れない。
 何せ相手方はどうやったら騙せるかを必死で考えているヤツらなのである。簡単には騙せないのは百も承知で、裏の裏や上の上、逆の逆など、こちらの考えそうなことを想定し既に何度も何度もシュミレーションし応酬話法を確立しているのだ。更に場数を踏んで台本を何度も修正しているのだから始末が悪い(=_=)

 私は相当騙されにくい男である。営業マンは日々交渉だ。交渉に次ぐ交渉である。数々の修羅場も踏んで来た。相手によっては腹を探ったり裏を読んだりということも数多くあったのだ。元々は純真で内気で恥ずかしがり屋で人見知りの私であったが(^^;)若い頃から様々な場面で鍛えられいっぱしの疑り深いビジネスマンに成長したのである。
 ところがそんな私でも本物の詐欺師に出会った時には危うく騙されそうになったことがあるのだ。
 課長をしていた頃の話だが、Tさんというお客様の紹介でAという男に会った。Aは建設会社の幹部でビッグプロジェクトのキーマンという触れ込みだった。
 Tさんと3人で会ったのだが、Aは高級そうなダブルのスーツを着ていて押し出しが強く大物感のある人物であった。話をしていると引き込まれ、どんどん信用していく自分がいた。まったく話に齟齬は無く、Aの言う通りにすれば私の成果となる大きな仕事が獲得出来そうに思えたのである。
 Tさんは更に前のめりだった。この機会を逃してなるものか、とぐいぐい話に傾斜して行くのが分かった。それでは一緒にやりましょう!と握手して別れたのだが、私の中にふと疑問が芽生えた。
「この話はうますぎる」
 そうなのだ。疑う余地の全くないようなすごいちゃんとした話ですっかり信用し力強い握手まで交わした私であったが、一つだけの疑念はそこにあった。

 子供の頃より福島の田舎町ですくすくと(^^;)育った私であったが、高校を卒業し東京の大学へ進学する時に祖母が私の目をじっと見つめこう言った。
「東京は生き馬の目を抜くと言われているコワいとこだぞ。うまい話に気をつけろ。くれぐれも騙されるな・・・」
 生き馬の目をどうやって抜くのかは知らないが(*_*;(あー、そうなんだ、東京ってコワいとこなんだ)という記憶は後々まで残っていた。ずっとずっと長い時を経ても、この「うまい話に気をつけろ」は、ばあちゃんの遺言のように私の胸の奥に存在し続けていたのである。

 TさんとAと別れ会社に戻った私は、まさかなぁ、と思いつつもAがくれた名刺を取り出してまじまじと見つめた。すると亡きばあちゃんのこの言葉が蘇ったのである。うまい話には気をつけろ、か・・・。
 そこで名刺の電話番号にかけてみた。地元の大手の建設会社で、受付と思われる女性が出て、Aに取次ぎを依頼するとなんとこう言ったのである。
「その者は退職しており、私どもとは関係ありません」
 え?!と思った。しかも言い方が何か明らかにおかしいのである。声のトーンが迷惑そうであり、困惑してるようにも思えた。一旦電話を切り建設業界の知り合いに連絡してみた。すると驚愕の事実( ゚Д゚)が判明したのである。

 Aは過去に確かにその建設会社に在籍していたが、詐欺事件を引き起こし既に解雇されているというのだ(+_+)
 その後も同様の詐欺事件で何度か警察沙汰になり、刑務所に服役して最近出所したらしいということまで聞かされた。業界では有名な詐欺師なのである(+o+)
 私は泡を食ってTさんに電話した。するとTさんは驚きの余り絶句した。聞いてみると既にいくらかの金も渡し車も貸しているそうなのだ。すぐに警察に届けるようアドバイスして電話を切ったのだが、話はなんとこれで終わりではなかった(+_+)

 翌朝7時頃単身赴任だった社宅のドアチャイムがピンポーン!と鳴った。こんな早くに誰だろうと出てみるとTさんが立っていた。そして何と私にこう言ったのである。
「福田さん、昨日は有難うございました。でも、私はAさんを信じてみたいんです・・・
 信じてみたいも何もAは明らかに詐欺師である。私はTさんに説得を試みたのだが、結局その日は翻意させることが出来なった。
 何と凄まじい詐欺師Aの話力。洗脳に近い状態まで持ち込んでいたのである。
 Tさんとて地元の有力企業で部長職まで務めたことのある海千山千の男である。しかし詐欺師のゾーンに入るとなかなか逃れられなかったということか・・・。

 その後洗脳が解けたTさんはAを追いかけ回し、何とか車と金を回収したと聞いたが、この時如何に詐欺師の力が凄まじいものであるかを感じさせられたのであった。

 しかしである。結局はシンプルに考えたら良いのだ。うまい話というだけで疑えばいいだけだ。「うまい話に気をつけろ」。正にそれだけなのだ。
 ばあちゃんの言うことを信じればいいだけの簡単な話である。
「絶対儲かる!」と断言する人がいればその人は嘘をついている。
 絶対なんてことはあるはずがないのだ。投機的な話で「あなたも簡単にすぐ何十万も勝てる!」というメッセージをよく目にするが、そんなすごく良いノウハウがあるとしたら私なら人に教えず自分でこっそりやる。金を貰って人にやり方を教えるのも悪くはないのかも知れないが、そんなまだるっこしいことしてるより、自分でガンガンやった方が早いに決まっている。
 
 まぁしかし、人のしていることに口は出すまい。
 
私がただただ、ばあちゃんの教えを守っていれば良いだけの話だからね(^-^)

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