TOEIC/動乱のエピソード編その5


TOEIC
~英語は度胸だ!~


英会話はビジネスマンに必須の時代となった。企業のグローバル化が進み海外でのビジネスが拡大している。人件費や原材料、設備費等のコスト低減のために先を競ってメーカーが海外に拠点を移す時代を経て、現在では大型M&Aが新聞紙上を賑わす時代となった。日本のマーケットは少子高齢化が進む途上にあり、日本企業が生き残って行くためには、海外での収益を拡大するビジネスモデルへの転換が必要である。日本のビジネスマンが海外にどんどん出て行き稼いで行くしか、各企業が勝ち残るビジョンが描けないのである。
この問題にはIR等の株主対策の要因も関連しているかもしれない。企業が中期計画等を策定する場合に株主やアナリストの目を意識せざるを得なくなって来ている。未来にビジョンが描けない経営者に対する市場の目は厳しさを増しているのだ。

そんな訳で、社員の英語力向上のためにTOEICの点数を昇進などの基準に入れる企業が増えて来ている。700点~800点くらいが多いようだ。

私の若い頃は周りのほとんどの人が英会話ができなかった。昔私の父が「アメリカに行けば犬だって英語を喋る」というジョークをしきりに言っていたが、確かにまったく出来なかった人も海外駐在員で赴任してから、何とか喋れるようになって帰って来る、そんな時代もあった。私は海外志向も薄く機会がなかったが、会社の先輩に印象的な海外駐在員帰りの対照的な二人がいた。

一人はネイティブ顔負けの発音で完璧な英語を喋る人。もう一人は酷いブロークンで単語を並べるだけの人。憧れたのは勿論前者の先輩だったが、しかしこのブロークンの先輩がまたすごかった。ヒドイ発音であるのも拘わらず、周囲を全然気にせず平気で外人と和気藹藹と歓談し、まったく問題なく通じる。単語を言って語尾を上げ下げするだけ、とか、更にヒドい時は「ね!」とか「かな?」とかを単語の後に加えたりしてもう無茶苦茶なのである。これはカルチャーショックであった(ー_ー)何だ、こんなんで良かったんだ!と思い気が楽になった(^_^;)「英語は度胸!」そんなイメージを持った。
そんなまだ30代前半の頃に、私は外資系のお客様を担当しておりトップはイギリス人であった。大変素晴らしい人物なのだが、日本語は「ありがとう」と「お水ください」しか知らなかった。
その社長を車で迎えに行きゴルフに行く機会があった。英語は度胸、と割り切っていたので、車中で英語で様々な話をした。社長も私の拙い英語力を理解していただいており、ゆっくり話してくださるのでだいたいはヒアリングもでき、楽しい会話が弾んだ。しかし、〇〇の件について君はどう思う?と訊かれてはたと困った。自分の意見を言うべき正しい単語を思い出せないのである。致し方なく知っている単語で答えた。つまり、知っている単語に合わせ自分の考えとは違う考え方を言ってしまった、ということだ。情けない話である。その時の社長の意外そうな顔が忘れられない。そりぁそうだろう。私も意外なのだから・・・(=_=)

5年ほど前に部下のOさんと出張でポーランドに行く機会があった。Oさんは英語が大の苦手であった。外国人に話しかけられるとパニックになり何でも「Yes、OK!Yes、OK!」と言ってその場を逃れようとするのだ。

ヒースロー空港から乗ったワルシャワ航空の機内で食事が出た。女性のCAがメインディッシュについて「Beef or Chicken?」と訊いて廻っていた。私の後ろがOさんだったが、Oさんは完全にパニックになっていて、「Beef or Chicken?」に対して「Yes、OK!Yes、OK!」。困ったCAの「Beef?」に対してOさん「Yes、OK!Yes、OK!」、「Chicken?」に対しても「Yes、OK!Yes、OK!」。

Oh・・・と言いながらそのCAは諦めて離れて行った。両方持って来るのかしらと思っていたが、結局持って来たのはChickenだけだった。どうせこの人は訊いた内容も分からないだろうからどうでもいいや、と思ったに違いない。
英語は度胸!というのは真理だと確信しているが、Yes OKしか言わないのではさすがにどうにもならないな(*´Д`)



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