~自分ランキングNo.1の本をご紹介!~
良書との出会いは人生を変えると言う。しかし本当に人生が変わるほどの本に出合えることは滅多にない。しかもそれが哲学書やノウハウ本ではなく「ミステリー」ならば本当に稀と言えるだろう。
その極々稀な本がこの「ゴールデンスランバー」だと私は考えている。もう古い本となったが、最近少しづつ書評的な駄文を書かせていただいているので、最も敬愛する作品のことを書きたくなって今回取り上げさせていただいた。
いつからか私は伊坂幸太郎ファンとなった。結局全作品を読破し映画もすべて観ているので、マニアと言ってもいいだろう。
仙台在住、仙台題材という一徹な拘りを持ちつつ、変幻自在、奇想天外、摩訶不思議な独特の世界観の中に読者をぐんぐん引きずり込む、現代日本におけるミステリー界のトップランナーである。
殺人や凶悪事件も扱い、血なまぐさい話も多いし、悲惨でやりきれない話もある。それでも淡々と冷静な筆致で描写するので、どろどろした感情は湧いて来ない。
会話は洒脱でハードボイルド的な気品すら感じられ世間離れしている。特異なカラーで彩られ統一されているが、他の作者と違いその作風に飽きることがない。様々なトリックの素材をさりげなくばら撒き、それを終盤で見事につなげ、読者を唸らせる。
しかし作風そのものにに違和感を感じる人もいると思う。ややテーマが難解と思える作品もないことはない。
それでもどの作品にも、作者の深い愛が感じられ、読後には思わずため息を吐いてしまうのだった。読後感が良い作品が多いのも特徴である。
2008年本屋大賞、第21回山本周五郎賞、「このミステリーがすごい!」2009年版第1位など数々の栄冠に輝いている。
私は本書を2度読み、映画を2回観た。しかし、時間を置いて再読したり鑑賞したりすれば、また違う感慨を覚えるのである。
あー、そうかそうかそうだったよね。旧友と再会したような懐かしい温かい感情に包まれるのである。
あー、そうかそうかそうだったよね。旧友と再会したような懐かしい温かい感情に包まれるのである。
本だけ読んだ人、映画だけ観た人はラッキーだ。見逃している片方をこの機会に読んだり観たり出来る。両方未だの人はWで楽しめ更に大ラッキーである(^-^)
あらすじはこんな感じ。
仙台で首相の凱旋パレードが盛大に行われる中、宅配業を退職していた主人公の青柳は久しぶりに大学時代の親友森田に呼び出される。青柳は数年前にアイドルの凛香が暴漢に襲われたのを助けており、地元では超有名人だった。森田と会うがどうも様子がおかしい。訝しむ青柳に、森田は「お前、オズワルドにされるぞ」と言う。直後に首相はラジコンヘリの爆弾で暗殺され、警官が2人のところにやってくる。「逃げろ」と森田に促された青柳はその場を逃げ出すが、森田は乗っていた自動車ごと爆殺されてしまう。そして何と青柳は、その直後から暗殺犯として様々なメディアに報じられていたのだった。無実の罪で犯人に仕立て上げられていたのだ。逃亡する青柳だったが、国家権力を操れると思えるほど執拗な追跡に遭い八方塞がりとなる。しかし元カノや職場の元同僚など、様々な人の力を借り、青柳は逃亡を続けて行く・・・。
様々な伏線や意表を突いたダイナミックな展開、心を打つエピソードなど、ミステリーの醍醐味が満載である。何の罪もない善良な人間が、首相殺しというあり得ない罪を着せられ逃亡するのだから、本当に義憤に駆られる悲惨な話である。ふっざけるなー!と叫びたくなるのだ。しかし、この「あり得ない話」はしっかりとしたプロットに守られ、リアリティがあるのである。だから更に感情移入してしまう。もし俺がこんな目に遭ったら、と考えてしまうのだ(*_*;
小説も映画も2回見ているから、文字と映像がシンクロしてしまう。主人公青柳の堺雅人と、ヒロインで元カノの竹内結子は、本を読んでいても頭に浮かぶのである。これはなかなか楽しく不思議な感覚である。
映画は原作に非常に忠実だ。全然ストーリーを変えてしまう映画もあるが、伊坂作品はどの映画もほぼ原作通りで安心して観れる。本を読んでから映画を観たらつまらないのでは、と思う方もいらっしゃるかも知れないがそんなことはない。分かっていても面白いのが本当の素晴らしい作品なのだ。
映画は原作に非常に忠実だ。全然ストーリーを変えてしまう映画もあるが、伊坂作品はどの映画もほぼ原作通りで安心して観れる。本を読んでから映画を観たらつまらないのでは、と思う方もいらっしゃるかも知れないがそんなことはない。分かっていても面白いのが本当の素晴らしい作品なのだ。
本作の神髄は「諦めないこと」だと思う。どんなに理不尽でどんな困難な状況にあっても、決して諦めず戦い続けるという強烈なメッセージが込められている。そしてその境地さえあれば、手を差し伸べてくれたり、最後まで信じてくれる人がいるのだと伝えている。しかも、それを大上段に振りかざすのではなく、時に柔らかいユーモアを交え淡々とそっと伝えている作者の筆力は驚異的ですらある。
良い作品は、その作品の世界がパラレルワールドに残っているような気がする。青柳は生きていて、どこかで静かに幸せに暮らしていると思えてならない。
私は仕事で苦しい時などに青柳を想うことがあった・・・。
調べてみるとauオリジナルのビハインドストーリーがあったようだ。DVDに付いてたのかなぁ・・・。観たいなぁ。探しに行くか(^-^)
今月のサラリーマンソング「ドリンキングマーチ」はこちら
http://supersalariedman.blogspot.jp/2016/11/blog-post_0.html
↓
https://youtu.be/QvGIUgBaVBk
サラリーマンの王道(4コマ漫画&エッセイ)過去記事リンク集はこちら
http://supersalariedman.blogspot.jp/2016/11/blog-post_0.html
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