特にレイ・ブラッドベリの「10月はたそがれの国(原題:October Country)」は名作だったなぁ・・・。
その後、星新一、筒井康隆、小松左京など日本のSFに手を広げ、高校生くらいまではSF漬けだった。
当時の作品は夢があった。まだ人類は月へも行っておらず、火星人は実在するかも、と誰もが少しは思っていた時期である。
そして今や、本当に火星に人類が降り立つのがリアルに表現される時代になった。月や星を見上げ、いつか行けるかなぁ、絶対そんなの無理だよな、と思っていた人々の想いが何と実現できるのである。
しかし、実現出来るというのは夢がなくなる、ということでもある。月にはウサギもいないし、かぐや姫もいない。何せ酸素がないのだ。人類は月に降り立っても宇宙服に身を固め、ウロウロ歩き廻るのが関の山である。ましてや火星人と仲良くなって移住することなど、宇宙開発が進めば進むほど無理であることが明白となり、どんどん夢が萎んでいく気もする(=_=)
しかし、そういう時代だからこそ、リアリティ溢れるこんな火星を舞台にした映画が誕生したのである。
たった一人で火星に取り残された男の壮絶なサバイバルが始まる。食料も十分ではなく、通信手段も無い中、一体どうやって生き抜いて行けるのだろうか。そして、彼は無事に地球に帰ることは出来るのだろうか?ってな話である。
絶体絶命の主人公を演じるのはマット・デイモン。ピンチでもユーモアを忘れない、ハードボイルドな役柄を演じている。
でもホントにアメリカンユーモアって、ピンチの時ほど光るなぁ。どんな時も前向きに諦めず、ギャグを忘れないのは我々も大事だと感じさせられる。
しかし、本編の魅力は何と言っても圧倒的なリアリティである。
SF巨編ではあるが、宇宙人も侵略者も怪物も何も出て来はしない。ワープ航法も無いし、隕石来襲もない。何もない静かな物語だ。
そしてそこにあるのは、胸に迫る様々な人間ドラマである。主人公を助けようと立ち上がるのは、地球にいるNASAのスタッフや中国の宇宙開発メンバーや、一度火星を離れたクルー達などたくさんの人達である。
クライマックスでは思いもよらない方法で、それらの人達が危機に立ち向かうのである。
まさか、そんな!というようなギリギリの決断をする人間の心が、私の胸を締め付ける。勇気を振り絞って戦うのは、外敵に対してではなく、自分の心に、である。
しかし、かつてこんなにリアルで前向きでしかも静かで淡々として素敵なSF巨編があったろうか!
それこそが製作者の狙いだったのではないだろうか。
私が火星で同様の局面を迎えることはないだろう。しかし、このような絶体絶命のピンチに陥ることは十分にあり得るのである。
主人公は一瞬たりとも諦めない。失意の中にあっても、常に前を向こうとする。無理やりにでも笑い、軽口を叩き、そして命を賭した決断を下すのである。
静かな勇気をもらえるこの映画は必見である。
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