花のさくら通り/荻原浩:ネタバレなしのブックレビュー!/総務部図書室(ブックレビュー)



「花のさくら通り」待望のドラマ化!
「ユニバーサル広告社~あなたの人生売り込みます!~」の原作!

 大好きな「花のさくら通り」が遂にドラマ化!本好きもドラマ好きも、ネタバレなしのブックレビューで概要チェックよろしくです(^^)/




(^.^)本日の記事の見出し


👉萩原浩さんです!


👉ユニバーサル広告社シリーズが真骨頂!


👉あらすじはこんな感じ!


👉素直な感想を書いてみる!


👉まとめ:萩原浩の「花のさくら通り」の評価は?!






👉萩原浩さんです!

  1956年生まれ。
  大学卒業後に広告代理店に勤務する。

 35歳の時にコピーライターとして独立している。
 39歳の時に小説を書き始め、2年後の1997年に最初に書いた長編で新人賞を受賞し作家の道に入ったのである。

  私は荻原氏の大ファンと言って良いと思う。
  ほぼ全作品を読んでいる。

  同氏が1997年にすばる文学新人賞を受賞しでデビューした際は、「オロロ畑でつかまえて」という広告業界を軽妙に描いた一般小説だった。

 その後3作目に書いたのが「ハードボイルドエッグ」というミステリーである。

 この作品が日本のミステリー、特にハードボイルド作品を偏愛している私の「ミステリーアンテナ」に引っかかったのだ。

 何せ文章が上手い。

 ストーリーもさることながら、作風が独特で哀愁があり読後感が爽やかである。

 この作品をきっかけに私は荻原氏を追いかけるようになった。

 私はてっきりこの人はミステリー作家なのだと思っていたのだが、それ以降ミステリーも書くことは書いたが、一般小説で脚光を浴びるようになって行った。

 最も有名な作品は、渡辺謙さん主演で映画がヒットした「明日の記憶」だろうか。

 若年性アルツハイマーを取り上げた作品だが、この救いようもない暗く厳しいテーマに正面から向き合いながらも、淡々と優しい筆致で丁寧に描いているので、悲壮感はさほど感じない。

 切なさが静かに胸に迫る名作である。




👉ユニバーサル広告社シリーズが真骨頂!


 そんな素晴らしい萩原作品の中で、私が渾身の想いを込めてご紹介したいのはこの「花のさくら通り」である。

 地味な作品だが、私の感性にぴったりフィットした良作だ。


 荻原作品の真骨頂はこの「ユニバーサル広告社シリーズ」にあるのではないかと考えている。

 デビュー作である「オロロ畑でつかまえて」は、自身が当時身を置いていた広告業界がテーマである。

 続編の「なかよし小鳩組」はヤクザに仕事を貰ってしまう広告代理店のユーモア溢れるストーリーだ。

 そしてシリーズ3作目がこの「花のさくら通り」(2012年6月 集英社 / 2015年9月 集英社文庫)である。

 本書はシリーズ前作「なかよし小鳩組」が1998年に刊行されているので、何と14年の歳月を経て書かれたシリーズ3作目なのである。

 デビュー当時の熱や若さや気合いが、円熟の時代にどのように昇華されたのかを読み比べる価値もあるのだと思う。






👉あらすじはこんな感じ!

 あらすじはこんな感じだ。

 弱小零細で倒産寸前のユニバーサル広告社が、シャッター街間近の寂れた「さくら商店街」の和菓子屋の2階に引っ越して来る。

 主人公はバツイチのコピーライター杉山。

 商店街のポスター制作を引き受けただけのはずだったが、いつの間にか心に火が付き、商店街の再生プロジェクト的な仕事に発展して行く。

 様々な障害を乗り越え、果たしてプレゼンは成功するのか。
 プロジェクトは進んで行くのか?!

 ドラマは沢村一樹さん主演で放送が始まっている。
 テレ東金曜8時ドラマである。


番組公式サイト↓








👉素直な感想を書いてみる!



 本作はそんなにドラマチックでも奇想天外でも感動巨編でもない。

 軽いリアルで普通の話なのである。
 驚愕のどんでん返しもなければ、そんなに大事件も発生しない。

 それでもこの作品は胸に来る。

 主人公の葛藤や苦悩は誰もが抱えるものだ。
 それを一緒に支えてくれるのは、事務の猪熊、アートディレクターの村崎という、変わり者だが仕事の出来る二人の後輩社員である。

 この配役の妙がとても生きている。
 社長の石井も味がある。

 商店街の店主たちなども本当に実在しそうな、頑固者だったり、過去のやり方から脱却出来ない普通の人々だったりする。

 そんな人達を説得し新たな企画を通すのは簡単なことではない。
 しかし思いがありアイデアがあり行動力があれば道は必ず拓ける・・・。

 結局私は自分に投影して読んでいたのだと思う。

 頑張れ頑張れ!そこでもうひと押し!などと応援する気持ちにさせられていたのだ。

 荻原作品に共通し、私を虜にするのは読後感である。

 どの作品も読後感が爽やかだったり、静かな哀愁があったりして、ほーっと息をして空を見上げてしまうような作品が多いのだ。

 思わず、ふっと笑ってしまっている自分に気づいたりすることもある。








👉まとめ:萩原浩の「花のさくら通り」の評価は?!



 素晴らしいです!

 おススメします!
 
 私は様々な本を読むが、基本的には救いのない作品はイヤだ。

 どろどろのぐちゃぐちゃで、もう何処にも行けないようなどん詰まり的な話も結構多く、それはそれで人気もあるのだが、ともかく読んだ後に、元気が出たり勇気が湧いたり、明日も頑張ろっかなと素直に思えるような話が好きなのである。

 そしてこの「花のさくら通り」は荻原作品の中でも私の感性にぴったりハマった人情もの熱血サラリーマン小説と言えるのである!

 荻原氏は第155回の直木賞を受賞した。

「海の見える理髪店」という作品である。

 何度もノミネートされていたので、ようやくという感じもあるが、大変嬉しいことだ(^.^)

 様々なテーマで作品を量産する作者であるが、クオリティは常に高い。
 ここに作者の志の高さと卓越した筆力が表れている。
 是非一度お読みいただきたい。

 荻原作品が未読の方は幸運である。
 今後豊かな読書が出来ることを、本大好きオヤジがお約束することにしたい。


花のさくら通り (集英社文庫)
荻原 浩
集英社 (2015-09-18)
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